スライド16のところで言った、冢 が大きくなると刄モ が小さくなる、を利用するのである。
1つ上のスライドで、系がモット絶縁体相になるほどV0 を大きくしても、僞 = U となるように
磁場勾配を加えれば原子のサイト間の飛び移りが活発になる、と言ったが、言い換えれば、
刄モ が非常に大きいモット絶縁体相でも冢 を大きくすることで刄モ を小さくできるのである。
刄モ が小さくなればサイト間での波動関数の干渉性が良くなるので、モット絶縁体相であっても
僞 = U のときだけ原子集団の映像にパターンが見られるようになる。(原子の飛び移りが起こった
段階でモット絶縁体相とは言えなくなるのだが、その辺りの細かい言い回しは気にしないことにする。)
よって、特定の磁場勾配で原子集団の映像にパターンが見られるようなことがあれば
そのときのV0 で系がモット絶縁体相にあったと判断がつく。
しかし、中心の大きなピークはともかくとして、その周りにある小さなピークは少しでもコントラストが悪くなると
(パターンがはっきりしなくなると)非凝縮原子によるバックグラウンドに埋もれてその鋭さが判断できなくなる。
したがって、このままではコントラストの良し悪しを決める判断材料がないのである。
そこで彼らは実に巧妙な手段を用いている。
→→→ 操作の流れ
サイト上の原子の波動関数は
という形で書る。ここで、j はサイトの番号、t は磁場勾配を加えてからの時間で、t = 300μs で
原子集団を解放する。この式を見ると僞 ≠ 0 であれば波動関数の位相が時間発展し、
光定在波から開放されるときの位相が各サイトごとに異なることが解る。t = 300μs で固定なので、
僞 をうまく調節することでサイト間の波動関数の位相差を自由に付けることができる。
隣り合うサイト間の波動関数の位相差がπ の場合は次のようになる。
→→→ 計算結果
この2つのピークがどれくらい良く分離されているかでコントラストの良し悪しを判断するのである。
つまり、この300μs の間に位相差π を付けても、その前のVmax の20ms 間で刄モ が大きいと
コントラストが悪くなり2つのピークがにじんでくっ付いた様になる。
よって、この2つのピーク間の幅を測定してコントラストの良し悪しを判断するのである。 |