A磁気トラップ

@の段階で、原子集団の位相空間密度ρps= n (λdb) 3 ( n は数密度、λdb h/(2πmkBT)1/2は熱的ドブロイ波長)は約10-6で、ボース凝縮の条件(ρps2.612)からは程遠い。そこで、後に説明する蒸発冷却と呼ばれる技術を用いるのだが、その準備として、下段MOTの原子を、磁場のみでトラップする。これは原子が持っている磁気モーメントμと磁場Bとの相互作用U= -μ・Bを利用する。原子の適当なスピン状態は、磁場が大きくなればなる程、この相互作用のためエネルギーが上がる(ゼーマンシフト)。よって、このようなスピン状態の原子にとっては、磁場の極小点がポテンシャルの極小点となり、原子はこの点を中心にトラップされる。磁場の極小点を作るために我々が用いたコイルを図4に示す。これはクローバーリーフコイル [8] と呼ばれ、軸対象な調和ポテンシャルを生成する。下段MOTを瞬間的(〜20μs)に切り、クローバーリーフコイルを瞬間的(〜2ms)に立ち上げることにより、原子を磁気トラップへ移行することができる。移行の効率は約30%で、これはトラップできるスピン状態の割合で決まっている。トラップされた原子は、図4に描かれているように葉巻のような形をしている。

  図4 クローバーリーフコイル

 

目次戻る進む参考文献