言葉による量子力学の構造の説明というか、むしろ一年半どれくらい学んだの確認。
ただ単に不確定性原理とか、シュレーディンガーの猫とかの話しが載っている本は
たくさんあるが、こういう入門的な説明はあまりないはず。
多分ここに書いてあることは、ほとんど誰も教えてくれないと思う。
教えてもらった記憶はないが、自然とこういう考えになれたというか、身についたというか…
自分で実感するしか方法はない。
だから読んでいただいても何の意味もないかもしれない。
もちろんここも自分の解釈なので、話半分ぐらいで読んでください。
量子で悩まされたこと、壁のように感じたこと
その1、規格化で勝手に定数を決めてもいいのか?
解決策、時間が経てばわかるはず。線形代数の固有ベクトルの大きさを1にしてよいのと同意である。
また、波動関数は確率だから、大きさが問題になるわけではなく、全体の起る場合の数の比が重要になる。
だから別に問題がない。
その2、運動量の期待値ってなんだ?期待値になっているのか?よくわかんない?
解決策、サイコロの目がいくつになるかの期待値とか、宝くじとかと照らし合わせてみる。
あとはその波動関数を
その物理量の固有関数で展開して期待値を計算すると、たしかにそうなっていることがわかる
(これは初心者にはちょっと難しいかも)。
その3、調和振動子のエルミート多項式が憶えられないし、わけわかんない。
解決策、その後もっと簡単な解き方をやるから、「こんな解き方もあるんだなー」ぐらいでよいと思う。
その4、角運動量ってなに?こんなの必要なの?
解決策、めちゃくちゃ必要だと思う。逆に言えば、この辺からついていけなくなってくる人が多くなりそう。自分もやばかった。固有関係とかに慣れて憶えるしかない。僕はこの辺で固有関係に慣れてきた。
演習で「同時固有関係って何ですか?」って質問した記憶がある。そう言えば、初めて同時固有関係が出てくるのかな。スピンとかいろいろ重要だから、がんばるしかない。
その5、水素原子が難しい。
解決策、がんばるしかない。原子の中でも一番単純な水素原子が、こんなにも難しいとは思っても見なかった。
まずシュレーディンガー方程式の極座表表示の長さにびっくりさせられて、次にその解き方にもびびらされた。
極座表表示の方程式を何度も書いて憶えたなぁ(もう忘れた)。
Lz、L+、L−とかの極座表表示も全部憶えたっけ…。
けどもう今は解き方を忘れてしまった。調和振動子、水素原子の二つしか厳密に解けなくて、その他の問題は
この調和振動子や水素原子の固有関数を完璧に知っているものとして問題が出されるから、
完全に理解した方がよい。
その6、摂動がわかんない
解決策、はじめはなかなか難しい。波動関数での一般的な摂動の公式はすぐに導けるようになったが、
使い方がよく分からなくて、さらに式をどう扱っていいのかとかがわからなかった。これはスピンなどの
行列表示での摂動論をやってみると、意外にも「のり」がつかめる。僕は行列でやるのを避け、一般的な波動関数ばかりやってたために、理解するのが遅くなってしまったと思う。縮退しているときも、考え方はそんなに変わらない。
その7、時間変化の摂動
その8、場の量子化
常に頭においておくべきこと
1、固有関係
量子力学特有の関係。Hψ=Eψこれが成り立つようなψを求めるのだ!!!
2、直行性
エルミート演算子の固有関数は直行していて、さらに大きさを一にする(規格化)ことができる。
3、完全系
固有関数の全体は完全系を成し、任意の関数を展開できる。
フーリエ級数と量子力学
積分、これはたしかにxについてたしあわせているから内積のように見える。
二つの関数の内積をとって、つまり二つの関数の積を積分をして0になれば、
その二つの関数は直行しているという。ここで注意が必要だが、一般に複素関数の内積は
片方の複素共役を取って積分するのである。そうしないと、自分との内積(大きさ)が負になってしまうときがある。
初めのうちはよくここで計算間違いをするから、注意が必要である。
そのお互いに直行している関数が無限にあれば、
または全部あれば、その直行している関数の重ねあわせでどんな関数でも書くことができそうである。
そのどんな関数でも展開できる関数の集合を完全系であるという(たぶん)。もちろん自分との
内積は0ではなく定数になる。その定数を1に決めておけば、規格化されているという。
完全系とは、「任意の関数を展開できる」という定義だった気がした。
展開とは、「任意の関数がその完全系である関数のあつまりの線形結合で表わすこと。である。
それができるのを完全系という。(たぶん)
関数の変数を無限の成分のベクトルと見ると、それを完全に表わすためには無限個の独立な
ベクトルが必要ということだ。たとえば3次元空間では、3本の独立な基底ベクトルがないと
その空間のすべての点を表わすことができない。基本的にはn次元空間のすべてを語るためには、
n個の基底ベクトルが必要である。もし足りなかったり、独立でなかったりすると言い表せない点が出てくる。
(2次元空間を一本のベクトルで表わすことは絶対に不可能である。最低2つの平行ではないベクトルが必要だ)
ただし、ここで重要なことは「基底ベクトルは直行している必要はない」
ということだ。たとえば3次元なら、ひとつの平面に3個の基底ベクトルがある場合以外は、どんな
基底ベクトルをとっても空間全体を表わすことが可能である。
完全系も直行している必要がない。テイラー展開もxの階乗で展開している。収束半径の中では完全系らしい(江沢先生に聞いた)。テイラー展開の基底、xの階乗は明らかに直行してない。けどexpとか表わせる。
しかしフーリエ展開では関数が直行している。だから便利なのだろう。
ここからは少し線形代数が必要だが、初歩的な知識でよい。
量子力学では物理量がすべて演算子で表わされる。量子力学では物理量が演算子に変わってしまう。
なぜそういう風になるかはまったくわからないから、そう思うしかない。
演算子、それは線形代数でいう行列だと思ってもさしつかえない。
演算子を波動関数に作用させると、その物理量が出てくる。
つまり、
演算子×波動関数=その物理量×波動関数
となる。そういう条件を満たす波動関数を求める。
ここで量子力学特有の物理量の量子化がおこる(起らない場合もある)。
境界条件とかいろいろな条件によりエネルギーとかが、飛び飛びの連続でない値になる。
その飛び飛びのエネルギーを、固有エネルギーという。
エネルギー演算子×波動関数=固有エネルギー×波動関数
この方程式ををエネルギー固有値方程式という。この固有値方程式を満たす波動関数を
固有関数という。つまり
エネルギー演算子×エネルギー固有関数=固有エネルギー×エネルギー固有関数
エネルギー演算子とはハミルトニアンである。そう、これは時間に依存しない定常状態の
シュレーディンガー方程式なのである。
固有エネルギーは実数でなければいけない。ほかの物理量に関しても、実数でないといけない。
だからその演算子の固有値が実数でなければいけないという条件を、演算子がエルミート的であるという。当たり前で、たいしたことがない条件のようだが、この条件はすごく重要で量子力学を
解きやすいものにしている(たぶん)。
それは、「エルミート演算子の固有関数の全体は完全直行系を成す」というものすごい定理がある。固有関数はお互いに直行していて、さらにその集合でどんな関数も展開できるのだ(たぶん)。
このすごい定理によって、まず「基底状態のシュレーディンガー方程式を解いて、
その完全系で波動関数を展開する」というような、流れで問題を解いていくはずだ。
一つ注意しておくと、さきほど書いたエネルギー固有関数というものが一般的な波動関数ではなく、あくまで
固有状態の波動関数であるということだ。エネルギー固有関数の集まりで
一般的な波動関数を展開する、というのが通常だ(たぶん)。学校の授業では
固有状態を求めることしかやらないと思うから、そこのところの注意が必要である
(きっとやるのは井戸型、調和振動子、水素原子だけかな。あとは解けない)。
固有ベクトル、固有値というものを憶えているだろうか?
この固有値方程式の形は線形代数の、
行列×固有ベクトル=固有値×固有ベクトル
という関係と同じと思ってもかまわない(たぶん)
だから、物理量の演算子も逆に行列表示することができる。
先に固有値方程式の固有関数は直行しているといったが、それは
「物理量の演算子がエルミート的でなければいけない。」
というところからきているといった。エルミート的?どこかで聞いたことがあるだろう。
ここで少し思い出してほしい。線形代数である行列に対して固有ベクトルを求めたときに、
どういう条件でそれらの固有ベクトルはお互いに直行していただろうか?
エルミート行列であったら、かならず固有ベクトルは直行していたのを憶えている(知っている)だろうか?
そう、エルミート行列なら固有ベクトルは直行しているのだ。
またほんとに不思議なことに、行列がエルミート的であることの条件と、
演算子がエルミート的であることの条件がいっしょである!!!(たぶん)。
そんなわけで、うれしいことに物理量の固有関数もお互いに直行しているのである。
そして、無限個の固有関数の全体を完全系できるから、固有関数の線形結合で
波動関数の一般解が表わせるのだ。
どの固有関数の完全系で展開してもかまわないらしいのだが、普通はエネルギーの固有関数で
展開する。なぜかというとそうしたほうが楽らしい。
別に運動量の固有関数で波動関数を展開してもいいらしいのだが、ぐちゃぐちゃになるらしい。
この辺はまだ実際にやったことがなく、聞いた話しなのでまだよくわからない。
大事なことをいい忘れた。
量子力学ではすべて確率や平均値でしか物理量がわからない。(固有状態を除く)
たとえば位置の期待値とか、運動量の期待値、エネルギーの期待値とか…
それが量子力学の本質らしい。なぜかは知らないがとにかく確率でしかわからないらしい。
確率や期待値が分かったところで(それも近似的に)一体何がわかるのかは、まだ量子力学を
学んで日が浅いから見当もつかない。
この辺から式がないとつらくなってくる…
つづく
10/8続き
固有関数とか固有値が分かりだしたら、こんどは角運動量の壁にぶつかる。
なんだかわかんないけど、突然角運動量が出てきて、その出てきた理由や同時固有関数
とかなんとかで悩まされた。まず、なぜ角運動量が出てくるのかというと、それは
ハミルトニアンを極座表表示すると、その式に角運動量が出てくるからである。
だから角運動量について知っておく必要がある。なぜ極座表表示するかといえば、それは原子とかは
球対称だからである。当然極座表のほうが物理が見えやすい。
角運動量が出てくる理由を知っていると、勉強しやすいと思う。
最近はスピンとかが出てきて、それによって電子が磁気モーメントを受けるとかなんとか・・・
ここは電磁気よりも先に量子力学をやっているつらいところで、何をやるのか、どういう影響を受けるのか等
まったくわからない。いやはや…
そう言えば、行列表示も分からない。なんなんだ!いったい。どういう風に便利なのかはまだ見えない。
聞いた話しによると、そのうち演算子や交換関係や内積などで話しが進み、実際に計算することは少なく
なるとのこと。ますます行列表示が必要になりそうだな〜。恥ずかしながら、いまだにエルミート的の意味が
がちっと理解できていない。ただ「入れ替えても大丈夫!」と、信じてかってに計算しているだけ…
このままじゃいけないと思うも、なかなかむずい。
この次の機会までは!!!
続く
in the 2001
1/27続き
量子力学3落とした…いいわけさせてもらえば、まず寒稽古!!なんでテスト一週間前に練習があるかなぁ〜。いやがらせだよ。
次に実験が忙しく、演習で発表できなかった・・・。2年だから落として当たり前のようないいかたをされると、
差別的な発言に腹が立つ。自由に学べるところが大学じゃないのか?
「2年だから落としたわけじゃない。自分の勉強不足だからだ!」と高麗さんに言いたいが、
まぁ落としたわけだし、こんな所でしか言い訳できない自分が情けない。が、落ち込んでも仕方がない、来年もがんばるしかない。
行列表示はわかった。摂動がわからん。なにをやってんだろうなぁ。もっと問題解くしかないのかな。
結局磁気モーメントはわからなかった。一体なんだったんだろうか?
電磁波を勉強する前に、場の量子化をしてみたり本当にめちゃくちゃやってるよ。
とりあえず、いまは何も書くことないよ…
3/26行列表示の意味
角運動量がなんとなくわかってきたら、こんどは演算子の行列表示と固有関数のベクトル表示に悩まされることになる。
いったいどういう意味があるのかというと、「ある完全系から、別の完全系へと変換するため」であり、言葉を使って実際の使い方を話せば、
(言葉を厳密に使っているからわかりにくいかもしれないが、ここで書いていることはすごく重要であり、またなかなかわかりにくい所なので、紙に書いて実際に手を使ってやってみることをお勧めする)
ある演算子Aの完全正規直行系をなす固有関数の集合が{un}があるとする。ここで別の演算子Bの固有関数を知りたい。{un}は完全系を成すから、Bの固有関数を{un}で展開することができる。このBの固有関数をφnとすると、展開できるから、φn=Σαni・uiとかける(Σはiについての和である)。まずはこのAの固有関数でBの固有関数を展開しているという事実を頭に叩き込んでほしい。
で、固有関係
B・φn=bn・φn(bnはBの固有値である)
に、φn=Σαni・uiを代入して、左からukを作用させて、
kに関して1〜nまでの式を並べれば、まさにそれは演算子Bの行列表示であり、その行列Bの固有ベクトル、
(α1、α2、…、αn)はフーリエ成分でありφnの展開係数であることがわかる。よく電子のスピンベクトルで、l+>が(1,0)で、l->が(0,1)と教科書には書いてあるが、
これの意味する所は、
φn=α1・l+>+α2・l‐>
と展開しているわけである。だからスピンベクトル(α1、α2)が、
α1=1、α2=0…つまり(1、0)の場合なら、φn=l+>
なのは自明である。基底をl+>、l->の順に取ったというのを心掛けていないといけない。
l->、l+>の順に取ると、ひっくり返ってしまう。だから
行列表示の場合は基底の固有関数をなににしたのかが重要である
こういうふうに堅苦しい言葉、「基底」、「固有関数」、「完全系」、「展開」などをわざわざ使うのには
意味があると思う。自分が難しい言葉を知っているのを自慢しているわけでは決してないっす。
数学とは言語であり…それを使うと正しく簡単に伝えられるのであると思う。
いちいち「基底」、「固有関数」、「完全系」、「展開」などの言葉を詳しく説明していたら、ものすごく大変だし、
かといって、かみ砕いて直感的に説明するのも難しい。だからこんなのになってしまうのです。
ただ「完全系」といっても、人それぞれのイメージはまったく違うものだろうし、結果として問題がなければ各人どんなイメージを持ってもよいと思う(無限次元空間のイメージなんて本当に人それぞれだろうし、それでただの関数もいっきに無限次元になって、それを展開するんだなんてますますわからん。最近は、その飛躍も数学のすごい所だろうし、抽象さもすごい所だと感じるようになってきたのであった…)
とっぷぺーじ