衛星での無重力状態?
(2000年に書いたものを、加筆修正を加えた。2003/6/20)
- 毛利さんの無重力状態について
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地球の外を回っている人工衛星、またはロケット。この中では無重力状態であると表現される。たしかに毛利さんが空中に浮かんでいる姿を見ると、彼は無重力状態にあるんだと思ってしまう。
しかし、正確な言葉を使うと、彼は決して無重力状態ではなく、びしばし地球の引力を受けている。たとえば、月だってあんなに遠くにあるのにちゃんと地球の周りを回っていることを考えると、
ちょっとくらい宇宙に出たからといって、無重力状態にはならないことはすぐにわかるだろう。だから、宇宙で空中に浮いていたとしても、決して無重力状態ではないのだ。
ではなぜ彼は空中に浮いていられるのだろうか?もしかしたら、ロケットは地球の周りを回っているのだから、「遠心力と向心力がつりあっているから、当然無重力状態である」
と考える人もいるかもしれない。しかしそう知ったかぶって結論づけるのは、あまりよくないことかもしれない。それは、遠心力とは見せかけの力だからだ。円運動している物体に作用する力は
向心力のみで、遠心力という力は働かないのだ。
- 自由落下を考える
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ここで少し宇宙から離れて、バンジージャンプについて考えてみよう。
バンジージャンプをして自由落下している人は重力をどのように感じるかというと、きっと無重力状態のように感じているだろう。
しかしここでよく考えてほしい、その人は重力によって力を受け、加速しながら落下しているはずである。それにもかかわらず、
その人は無重力であると感じるのは何ゆえであろうか。
自由落下しているときは、その物は重力のみの力を受けることになる。重力のみが働いているときは、人はいったいどのように感じるだろうか。
重力のみによる運動の場合、すべての物体が近似的に同じ大きさ、向きの力を受けるために、自分が加速度運動をしていることを感じることはできないのだ。
なぜなら、すべての物体が同じ力を受けるために、力を加えられても何も変わらないからである。それはすなわち無重力である状態となんらかわりがないことになる。
(ちょっとイメージするのは難しいかもしれない…)
- 宇宙の毛利さんは、つねに自由落下
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なぜ突然自由落下の話をしたかというと、実は宇宙にいる毛利さんも自由落下の状態と同じなのだった。宇宙船は地球の周りを落ちながら回っているので、常に自由落下をしている状態
なのだ。ちょっと物理に親しくない人だと、よく気持ちがわからないかもしれない…。ニュートンの壮大な考察を紹介しよう。
彼は、考えた、「地球が丸いことを考慮に入れると、
山の頂上から超高速でボールを投げると、ボールは落ちることなく、後ろから帰ってくるだろう…」。彼はそれが月であると考えた。
投げられたボールは自由落下である。つまり、ボールは落ち続けながら地球を回ることができるのだ(もちろん空気抵抗とかなければの話だが)。
話をまとめよう。毛利さんは宇宙船でつねに自由落下しながら地球の周りを回っているので、無重力のように見えるのだ。実際はちゃんと重力を受けているが、
周りのものすべてが自由落下しているので、無重力状態と何も変わらないのだ。
ちょっとした問題
飛行機に乗っているとき、普通に重力を感じている。それはなぜか?
ヒント…ヘリは?
(僕なりの)答え
飛行機は自由落下しているわけじゃなく、翼で揚力という重力とは逆向きの力を発生させてます。
その揚力によって飛行機は空を飛べるわけです。そして、僕らはその揚力を足元から受けて、重力として感じているのでした。
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とっぷぺーじ