シュテルンゲルラッハの実験と電子のスピンの測定に関しての疑問

シュテルンゲルラッハの実験により、電子のスピンは1/2であるということが発見された。
シュテルンゲルラッハの実験…これは、不均一な磁場の中に電子を一つずつ何個も何個も打ち込みむ。磁場の先にはスクリーンがあり、電子がスクリーンにぶつかるとその事が分かるような仕組みになっている。電子が回転することにより磁気モーメントをもつとする。古典的な常識では電子の回転軸はどんな向きにでもとれるから、電子の磁気モーメントも連続な値を取るだろう。結果、不均一な磁場のなかに電子を打ち込むと、スクリーン上に電子は連続に分布するだろう。

しかし、実験によると電子の到達位置は二つに分かれたのだ。このことから電子のスピンはh/2(エイチバーの記号が出ないのでお許しを)とわかったのだ…


これが大雑把なシュテルンゲルラッハの実験の説明だ。どこにも疑問がないように思えるが、よく考えればなぜ電子のスピンがh/2とわかったのだろうか?当時の測定技術ではh(プランク定数)の精度で測定できるはずがない。このことは長年疑問だった。が、最近何かの本に書いてあって理解した。どうやら二つに分かれたことが重要らしい。

そもそもスピン演算子の定義は(自分が知っている限りの定義)「交換関係が角運動量演算子と同じであること」である。その交換関係だけから本当にいろいろな関係が出てくる。それはとても興味深い。その中の一つである、「方位量子数Lは連続ではなく量子化されていて、n/2(n=0,1,2…)のみをとることができる」が関係している。角運動量の場合は周期的境界条件により、方位量子数は半整数ではなく整数のみになってしまう。しかしスピンの場合は交換関係だけであり、周期境界条件もくそもないので半整数も取れるのである…

シュテルンゲルラッハの実験において電子が二つに別れたということは、連続ではなく二種類の磁気モーメントしか持っていないということと解釈できる。磁気モーメントは方位量子数mに依存する。mはL〜−Lまで1ずつ変わっていくことしか許されないのだ。電子が2種類ということは、mが二つの状態しか許されない、つまりL=1/2だとmは、m=-1/2,1/2の2状態しかとることができない。つまり二つの状態を取るということは、スピンが1/2であることと同意なのである。


尚、大事なことを強調すると、mはーL〜Lまでしか取ることができない。また1ずつ変わることしかない。このことからLは半整数しか取ることができない。これはすべて交換関係のみから出てきたものである

角運動量演算子という概念は難しい。僕もかなり悩まされた。それぞれの成分に関して固有関係を作れないから、ある一つの成分〜通常z成分〜に関しての固有関係と、角運動量の大きさの二乗の演算子との固有関係を満たす同時固有関係を考える。なぜかというとシュレーディンガー放映式の極座表表示に角運動量の大きさの二乗と、角運動量のz成分がでてくるからである。もちろんz成分との固有関係ではなくxでもyでも、任意の方向の成分に対しての固有関係を作っても物理は変わらない。しかし計算がややこしくはなるが。

やっぱむずかしいなぁ。角運動量演算子には微少に回転させるという演算子の意味もあるらしい。そこから回転群になんたらかんたら…exp(-iL/h)と言う演算しが任意の関数を回転させるとかしないとか。もちろんここでのLは演算子。上ではすべて固有値であることを間違えないでね。



すべて私の考えですので間違っていることが十分考えられます。
いろいろなご意見待っております


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