物理学に関して
2002
5/15スレイター行列
一年前に理論物理学の難しさを思い知らされたスレイター行列へと突入した。そしてハートリー・フォック近似、そしてその先には二次量子化を視野に入れている。ボース凝縮を量子力学的に扱うには、場の演算子を使わなければいけないようだ。
去年は悩まされて嫌になったスレイター行列だが、一年たった今はフォック近似も見通しがよくなった。さて、今日も遅くまで頑張るかぁ。
4/25 1985年の電気系統のこと
今ブルーバックスを読んでいる。1985年に電気系統について書かれた古い本だ。昔の技術について面白そうな奴について書く
飛行機は当時は当然PGSがないので現在地が分からない。そのために、飛行機にはジャイロと加速度機計が備わっていて、加速度とその方向から、随時積分して現在地を割り出すシステムを使用していたらしい。壮大だ。
4/14ボーズアインシュタイン凝縮
ボーズアインシュタイン凝縮(以後BEC)は本当にすごい分野だ。量子や統計の概念がとても生きてくるし、実験器具や電気回路も作らなければいけない。そしてその制御は驚異的なレベルまで追求しなければいけない。いろいろな技術を駆使して、0.000000001度(ケルビン)という信じられない低温を実現することが可能となった。そういった温度にすることで始めてBECになる。そしてそのBECは物質の新しい基礎を発見する可能性がある。
BECのおもしろい所は…
・理論が好きな人は楽しい
・物質の謎に直接迫る
・いろいろな能力が要求される
所だと思う。他の物性物理学の実験には理論がないことが多い。これはどういう事かといえば、物質の性質とはすごく理論的に説明しにくい。たとえば電気伝導という超当たり前のことさえも、理論的に厳密に迫れないらしい。それは原子間の相互作用の強さが、理論の建設を大きく邪魔している。力学や量子力学というのは、物が一つだけだと、大体は厳密に解くことができる。物が二つあるときだと、何とか厳密に解ける時もある。3つの時だと、もう厳密には解けなくなる。解けない時は近似をするしかない。物質間の相互作用を弱いとして、近似していく。しかし、原子間の相互作用が強い時はもうわけがわからなくなる。とくに、固体とかは相互作用が強いから固体でいられるわけであるから、当然相互作用は強い。だから理論で解くことが極端に難しくなる。しかも10の23乗個も原子があるわけだから、とても厳しい。
その点BECだと、対象は気体である。そのため相互作用はほとんどない。だから近似で解けるのだ。だから固体などの物質では分からなかったことが、BECでは分かるかもしれないのだ。
BECは楽しい(今の所)
1/27飽和分光とメスバウアー2
電子ではドップラー効果が起こり、原子核ではドップラー効果が起らないことが問題だったが、これは原子の重心系で見れば話は理解できる。惑星の2体問題や水素原子をやった方なら知っていると思うが、中心の質量が重い場合は中心の物質が重心と同じであるとしても、よい近似が成り立つのであった。つまり、原子核は電子に比べて1000倍ほど重いから、重心に静止しているとしてもよい。この時の重心は固体なら静止しているから、結果としてドップラー効果は起こさないのであった。
また少し謎が出てきた。飽和分光は原子核のスピンと電子のスピンとの相互作用によって電子が超微細構造を作る。個の時の超微細構造のエネルギーは約10^(‐6)eVのオーダーである。水素原子の基底のエネルギーが13.6eVであるから、そのエネルギーオーダー差は10^(‐7)にもなる。たとえるなら、位置エネルギーをmghとした時に、1000万メートル下に地面(基底)があり、そのときに1mの単位のエネルギーを測定したのである。超微細なわけである。エネルギー的に言えば、
10^(‐6)eV=10^(‐25)Jである。もうとんでもないオーダーのエネルギーを、レーザ−を吸収させることで直接測ったのである。これはものすごいことだ!!
メスバウアーはなぜ超微細構造を作るかといえば、電子が原子核の位置に作る内部磁場によって準位がずれるのである。このときの内部磁場は33Tという超強力なものだった(実験室でも作れないくらいでかい)。これは核スピンと電子のスピンの相互作用みたいに生易しい相互作用ではなく、超強力な相互作用のように直感的に感じる。それだけの力がかかればエネルギー準位は飽和分光よりも大きくずれるだろうと予想した。しかし、メスバウアー効果によるエネルギー準位のずれというのは10^(‐8〜9)ぐらいらしい!!飽和分光よりも、より微細な構造を作っているのだ。これは一体どういう事なのだろうか?
今の所の個人的な予想としては、原子核には強い力が働いているために、あまりエネルギーがずれないのではないか?という予想である…しかし、これは物理的にあまり根拠がない。その理由としては…まあいいや。両方に精通していそうな田崎教授に質問しようっと(院生に質問したが、こんな難しいことに答えられるわけはなかった…自分でも見当もつかない。原子核は未知だね。まったく)
自分の中で一応の解決を得られた。鉄の核の準位のずれは最外殻電子の影響を受けているわけではないようだ。鉄は4sかなんかの電子が対称性を崩していて、それにより内部磁場を原子核に働かしているのだそうだ。ルビジウムの場合は5sの電子は一つしかなく、アルカリ原子だから電子と原子核のスピンが相互作用するそうな。ということは、ルビジウムの内部磁場は数テスラを越えているということになってしまう。
2001
12/24飽和分光とメスバウアー効果
飽和分光とメスバウアー効果、どちらもスピンによる摂動で縮退がとける。
どちらもその超微細構造を見ようという実験だ。この若さで両方経験する機会に恵まれたのは(メスバウアーは院生の研究者から話を聞いたぐらいだが)すごいことのように感じる。だけれども、理論的なことがまだついていけないので、もっと勉強したい。たとえば角運動量の合成とか、複数粒子の場合のスピンはどうなるとかがまったくわかっていないこと、時間変化の摂動〜ゴールデンルールの理解ができていないことなど上げられる。
今これに関してきになっているのは、ドップラー効果に関してのこと。飽和分光は電子の軌道が軌道角運動量、電子のスピン、核スピンによって準位が変わるが、それの微細な構造をレーザー吸収させて見ようとすることだ。この実験だとドップラー効果がもろ効いてくる。メスバウアー効果は原子核(主に鉄が多いようだ)にX線をあてて、その吸収によって核の準位を見ようとする実験だ。この実験を聞くまで核に準位があることなど知らなかった。しかも準位によって核のスピンが変わるのだ!!!これはショックだった。実際には放射性のコバルトが鉄に改変する時に放射されるγ線を鉄に照射してどれぐらい吸収されるかによって、その内部磁場や(数100テスラらしい。これははさみとかが空中に浮く時の磁場の100倍くらい。驚異的な強さの磁場である…)、その他いろいろとわかるらしい。核磁気共鳴とかの原理もこれに近いらしい。こいつの場合は原子運動によるドップラー効果は関係ない。なんでなのか考えているがよくわからない。
まず言えることは、飽和分光は電子、メスバウアーは原子核であるということだ。電子のほうが軽いのはご存知だろう。つまり早く動きまわっていてその分ドップラー効果が大きいのではないか?
もう一つは飽和分光は気体(ルビジウム)で、メスバウアーは固体の鉄だということだ。たぶんそれも大きいと思う。しかしもっと掘り下げていけば、もっと謎があるのだが・・・だれかこの実験に興味があったらご一報を。
読み返してみると、上の話は分かりにくいですね…すいません
12/8最近…
物性についてすごい勢いで理解してきた。っていうか今までまったくの無知だっただけなんだけど。近頃は物理に燃えてきた。春休み以来のこのテンションを大切に育てていきたい。柔道は燃え尽きた。甲南戦で圧倒的な実力差を見せ付けられて、向かっていくだけの気力は今はもうない。物理に関しては今楽しい。
薄膜のx線反射に関して理論と実験の結果がまったく逆になる結果を導いてしまった。それはブラッグ反射のような式なのだけど。どうも実験結果と逆になってしまう。こういう時にいろいろとモデルを考えて実験を説明しようとすることは楽しいことだ。大体うまくは行かないのだけどもね☆
ただ忙しい。がんばるぞぅ!!
1/1
逆の結果を導いたとあるが、数値計算の結果誤差の範囲内だった。「角度が大きくなるとピークの間隔は広がっていく…」というのを導いたが(少し大袈裟)、その実験の角度の範囲内では間隔は変わらないことがわかった。個人的にで、数値的に計算したのは始めて。数値的にといっても、エクセルでばぁって感じでだけど。
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すべて私の考えですので間違っていることが十分考えられます。
いろいろなご意見待っております
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